【実務要約】物流効率化法


【実務要約】物流効率化法

(正式名称:物資の流通の効率化に関する法律)

運送会社・配送会社向け 経営層&現場実務者用

エグゼクティブ・サマリー

2024年4月のドライバー時間外労働規制(2024年問題)を受け、物流の持続的成長を図るため「物流効率化法」が大幅改正されました。

  • 2025年4月1日:全ての荷主・物流事業者に「努力義務」が適用開始(既に施行済み)
  • 2026年4月1日:一定規模以上の「特定事業者」に中長期計画・定期報告等が義務化
  • 運送会社は「特定貨物自動車運送事業者等」として、保有車両150台以上で特定事業者に指定
  • 取り組むべき3本柱:①積載効率の向上 ②荷待ち時間の短縮 ③荷役等時間の短縮
  • 目標:1運行の荷待ち・荷役等時間を2時間以内、積載効率44%(5割の車両で50%)を達成

今すぐ確認すべきこと:自社の保有車両台数が150台以上なら「特定事業者」として2026年4月までに中長期計画・CLO選任等の準備が必要

1. 法律の背景・目的・何が変わったか

■ 背景

  • 2024年4月からドライバーの時間外労働上限規制が適用(年960時間)
  • 何も対策を講じなければ、2030年に輸送能力が34%(約9億トン相当)不足する試算
  • 荷主・物流事業者・消費者が協力して物流を支える環境整備が急務

■ 法律名称の変更

  • 旧名称:「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」(物流総合効率化法)
  • 新名称:「物資の流通の効率化に関する法律」(物流効率化法・新物効法)

■ 改正の核心(規制的措置の導入)

  • 従来の「支援法」から「規制法」へ性格が変化
  • 全事業者に努力義務、一定規模以上には義務・罰則を導入
  • 取組状況の調査・公表、勧告・命令・社名公表制度を新設

2. 施行スケジュール

施行日内容
2025年4月1 【施行済み】● 全ての荷主・物流事業者に努力義務を適用 ● 運送契約締結時の書面交付義務(貨物自動車運送事業法) ● 実運送体制管理簿の作成・保存義務(1.5トン以上) ● 荷待ち時間・荷役等時間の記録義務(全車両に拡大)
2026年4月1 【施行予定】● 特定事業者の指定・届出開始 ● 中長期計画の策定・提出義務 ● 特定荷主・特定連鎖化事業者にCLO(物流統括管理者)選任義務 ● 利用運送事業者にも実運送体制管理簿作成義務を拡大
2027年度〜● 定期報告の提出開始

3. 対象事業者の整理

区分対象者特定事業者の基準
第一種荷主 (主に発荷主)運送事業者と直接契約し、貨物を引き渡す事業者取扱貨物 9万トン以上 (約3,200社が該当見込)
第二種荷主 (主に着荷主)他者が雇用するドライバーから貨物を受け取る/引き渡す事業者(同上)
連鎖化事業者フランチャイズチェーンの本部取扱貨物 9万トン以上
貨物自動車運送事業者等 【運送会社】一般貨物自動車運送事業者、特定貨物自動車運送事業者、貨物軽自動車運送事業者、第二種貨物利用運送事業者等保有車両 150台以上 (約790社が該当見込)
貨物自動車関連事業者倉庫業者、港湾運送事業者、航空運送事業者、鉄道事業者【倉庫】保管量70万トン以上 (約70社が該当見込)

4. 運送会社・配送会社向け 実務チェックリスト

(A) 現場オペレーション

  • 運送網の集約・配送の共同化(他社との積み合わせ、共同配送)を検討しているか
  • 復荷(帰り荷)の確保に努め、空車回送を削減しているか
  • 配車システム導入により、配車・運行計画の最適化を図っているか
  • トラック予約受付システム(バース予約)を活用し、早着・待機を回避しているか
  • 荷主への到着予定時刻の事前通知を行い、荷待ち時間短縮に協力しているか

(B) KPI・データ管理

  • 積載効率(重量または容積ベース)を定期的に測定・管理しているか
  • 荷待ち時間(到着〜荷役開始)を運行ごとに記録しているか【全車両義務化済】
  • 荷役等時間(荷役開始〜終了)を記録し、荷主と共有しているか
  • デジタコ・運行管理システムでデータを蓄積・分析しているか
  • 荷主への改善提案時に、データを根拠として示せる体制があるか

(C) 取引・契約・料金

  • 運送契約締結時に書面(運送申込書・引受書)を相互交付しているか【義務化済】
  • 附帯業務料・燃料サーチャージ・待機料等を契約書面に明記しているか
  • 標準パレット(1100×1100mm)利用を荷主と協議し、荷役効率化を図っているか
  • リードタイム確保のため、適正な納品時間設定を荷主と交渉しているか
  • 実運送体制管理簿を作成・保存(1年間)しているか【1.5トン以上の運送】

(D) ガバナンス・社内体制

  • 物流効率化の責任者(担当役員または管理職)を社内で明確にしているか
  • ドライバー・配車担当者への法改正内容の教育・研修を実施しているか
  • 荷主への効率化提案フロー(誰が・どのように提案するか)を整備しているか
  • 【150台以上の場合】中長期計画策定・定期報告の準備を進めているか

(E) リスク管理・法令遵守

  • 国の調査・公表制度を理解し、対応体制を整えているか
  • 過積載・過労運転等の法令違反防止を徹底しているか
  • 下請取引の適正化(2次請け以内に収める努力義務)を意識しているか
  • 勧告・命令・社名公表のリスクを経営層が認識しているか
  • 利用運送量100万トン以上の場合、運送利用管理規程・管理者選任義務を履行しているか

5. 「特定事業者」該当判定と2026年4月までの準備事項

事業者区分指定基準2026/4/1までの準備
特定荷主・特定連鎖化事業者取扱貨物 9万トン/年 以上● 指定届出 ● 中長期計画策定 ● CLO(物流統括管理者)選任 ● 定期報告体制整備
特定貨物自動車運送事業者等保有車両 150以上● 指定届出 ● 中長期計画策定 ● 定期報告体制整備 ※ CLO選任義務なし
特定倉庫業者保管量 70万トン/年 以上● 指定届出 ● 中長期計画策定 ● 定期報告体制整備

■ 特定貨物自動車運送事業者等が準備すべきこと(2026/4/1まで)

  • 指定届出の準備(保有車両台数等の報告)
  • 中長期計画の策定(毎年度提出が基本、内容変更なければ5年に1度)
  • 定期報告の体制整備(チェックリスト形式+自由記述)
  • 運送会社にはCLO選任義務は課されない(荷主・連鎖化事業者のみ)

6. ToDo:これから進めなければいけないこと(30日/90日/半年)

30日以内▶ 自社の保有車両台数を確認し、150台以上なら「特定事業者」該当を認識 ▶ 書面交付義務の履行状況を確認(運送申込書・引受書の運用) ▶ 実運送体制管理簿の作成・保存状況を確認 ▶ 経営層への法改正内容の報告・共有
90日以内▶ 荷待ち時間・荷役等時間の記録・データ化体制を整備 ▶ 積載効率の測定方法を確立し、現状把握 ▶ ドライバー・配車担当者への教育研修を実施 ▶ 主要荷主との効率化協議を開始(待機料・パレット等)
半年以内 (2026/4/1前)▶ 【150台以上】中長期計画の策定・社内承認 ▶ 【150台以上】定期報告の様式・報告フローを準備 ▶ 配車最適化システム・バース予約システムの導入検討 ▶ 共同配送・モーダルシフト等の効率化施策を具体化 ▶ KPIダッシュボード整備(積載率・荷待ち時間等の可視化)

7. 参照した一次情報(公式ページ)

  • 国交省「物流効率化法」理解促進ポータルサイト:https://www.revised-logistics-act-portal.mlit.go.jp/
  • 経産省 物流効率化法ページ:https://www.meti.go.jp/policy/economy/distribution/butsuryu-kouritsuka.html
  • 国交省 改正貨物自動車運送事業法:https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_mn4_000014.html
  • 全日本トラック協会 法改正情報:https://jta.or.jp/member/kaisei_jigyoho/top/
  • 農水省 物流効率化法ページ:https://www.maff.go.jp/j/shokusan/ryutu/250327.html

【免責】本資料は情報提供を目的としたものであり、法律相談ではありません。具体的な対応については、所轄の運輸支局、トラック協会、または専門家にご相談ください。法令・制度は変更される可能性がありますので、最新情報は上記公式サイトでご確認ください。

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