経営と現場の交差点

物流2024年問題の継続的な影響と対策の深化

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「吉田社長、いよいよ本格的な物流の変革期に入ったと実感しています。」
当社の会議室で、取締役営業部長の森が真剣な表情で私に語りかけました。そう、2024年4月1日から、トラックドライバーの時間外労働規制が強化され、いわゆる「物流2024年問題」が本格的に適用されました。これは単なる問題ではなく、日本の物流システム全体が構造的な変革を迫られる、極めて重要な局面です。

私、中央矢崎サービス株式会社 代表取締役社長の吉田幸市は、長年、交通インフラと安全運行管理に携わってきました。現場を重んじる私にとって、この問題は決して他人事ではありません。輸送力不足、物流コストの増加、そして何よりもドライバーの皆さんの過酷な労働環境。これらは、日本の社会と経済の根幹を揺るがしかねない喫緊の課題だと認識しております。

しかし、私は悲観ばかりしているわけではありません。むしろ、この大きな変革を、より安全で効率的、そして持続可能な物流システムを構築するチャンスと捉えています。そのためには、政府の対策強化に加え、我々のようなソリューション提供企業と、現場で奮闘されている運送会社、そして荷主企業の皆様が一丸となって、具体的な行動を起こす必要があります。

私は、このコラムを通じて、皆様と共にこの問題について深く掘り下げ、解決の糸口を探りたいと考えています。そこで今回、社内外のキーパーソンに直接お話を伺い、それぞれの視点から「物流2024年問題」の現状と未来について語っていただきました。


まず、当社内でこの問題にどのように向き合っているのか、キーパーソンである3名の社員に話を聞きました。

**吉田:** 森君、君は当社の新システム導入を強力に推進してくれているが、今回の2024年問題を受けて、当社のソリューションがどのような役割を果たせると考えているかね?

**森 取締役営業部長(36歳):** はい、社長。私はデジタルタコグラフ「YDX-8」やIT点呼システム「SAN点呼」が、まさにこの問題の解決に不可欠だと確信しています。2024年問題の本質は、ドライバーの労働時間管理の適正化と、それによる輸送効率の低下をいかに防ぐか、という点にあります。YDX-8で取得できる運行データは、ドライバーの休息時間や走行距離はもちろん、安全運転に関する詳細な情報まで可視化します。これにより、無理のない運行計画の立案や、効率的な配車が可能になります。そして、SAN点呼は、場所にとらわれずに安全な点呼を実施でき、特に遠隔地での業務効率化に大きく貢献します。これらのシステムは、単なる規制対応ではなく、業務改善、ひいてはドライバーの働き方改革に直結すると考えています。

**吉田:** 森君のような若手の視点と推進力は、本当に頼もしいよ。次に、原本部長。長年現場を見てきたベテランとして、この規制強化によって、現場のドライバーさんたちにはどのような変化が起きていると感じるかね?

**原本 営業部長(58歳):** 社長、現場の声は切実ですよ。時間外労働の上限規制は、ドライバーの身体的な負担軽減には繋がるかもしれませんが、同時に収入の減少を心配する声も少なくありません。特に長距離ドライバーは、これまで時間外労働で収入を補っていた部分が大きかったため、モチベーションの維持にも影響が出かねません。我々が提供するYDX-8やSAN点呼のようなシステムは、確かに業務効率化に貢献しますが、導入コストや操作への慣れ、データの活用方法など、現場ではまだ抵抗感や戸惑いを感じている方もいらっしゃいます。システム導入は重要ですが、それと同時に、労働条件全体の改善や、デジタルを使いこなせる人材育成といった、包括的なサポートが不可欠だと感じています。

**吉田:** 原本さん、長年現場を見てきた知見は、何物にも代えがたいですね。現場の生の声、本当に重く受け止めなければならない。久海係長、あなたは若手ながら現場と管理の橋渡し役として、どのような取り組みをしていますか?

**久海 営業係長(23歳):** はい。私は主に、YDX-8で蓄積されたデータを活用し、お客様の運行管理者様と一緒に、具体的な改善策を検討するお手伝いをしています。例えば、長時間の連続運転や特定の区間での速度超過が多いドライバーさんには、個別の安全指導のアドバイスをしたり、非効率なルートを特定して見直しを提案したり。また、SAN点呼を通じて、ドライバーさんの健康状態や疲労度を日頃から把握し、異変があればすぐに運行管理者へ共有するよう促しています。若手だからこそ、デジタルネイティブの感覚で、データの面白さや活用メリットをドライバーさんに伝えることも心がけています。働きがいのある職場づくりにも、こうしたデータ活用が繋がると信じています。

**吉田:** 久海さん、若いながらも現場と管理を繋ぐ視点は素晴らしい。女性ならではのきめ細やかさも活かされているね。皆の話を聞くと、デジタルツールが重要であると同時に、現場のリアルな声に耳を傾け、人間中心の改善を進めることが何よりも大切だと改めて感じたよ。


社内での議論を踏まえ、次に物流の最前線で奮闘されている業界関係者の皆様に、直接お話を伺いました。

**吉田:** まずは、長年運送業界を牽引されてきた、株式会社北斗運輸の飯田社長にお話を伺いたいと思います。飯田社長、今回の規制強化によって、貴社ではどのような影響が出ていますか?

**株式会社北斗運輸 代表取締役社長 飯田 健吾氏(50歳):** 吉田社長、ご無沙汰しております。影響は甚大です。まず、運行計画の見直しが急務となりました。特に長距離輸送では、これまで一人のドライバーで回せていた運行を、途中で乗り継ぎにする「中継輸送」や、複数のドライバーで交代しながら運行する「リレー輸送」に切り替える必要が出ています。これにより、当然ながら運行時間が増え、人件費も増加します。結果として、輸送コストは平均で15〜20%ほど上昇しています。しかし、そのコストを全て荷主様に転嫁できるわけではなく、我々運送会社の経営を圧迫しているのが現状です。
当社でも御社のYDX-8やSAN点呼を導入していますが、データを活用して効率化を図るとともに、ドライバーの労働時間を適切に管理できており、法令遵守の面で非常に助かっています。それでも、ドライバー不足は深刻で、特に若い人材の確保は喫緊の課題です。

**吉田:** 飯田社長、生々しい現場の声をありがとうございます。コスト増とドライバー不足、まさに業界全体の課題ですね。次に、長年ハンドルを握り続けているベテラントラックドライバー、田中茂さんにお話を伺います。田中さん、今回の規制強化で、ドライバーとしての働き方に変化はありましたか?

**ベテラントラックドライバー 田中 茂氏(62歳):** 吉田社長、お世話になっております。変わりましたよ。以前はもっと、自分の裁量で走れる部分が大きかったですが、今はデジタコ(YDX-8を指す)のデータも細かく見られますし、休憩時間も厳しく管理されます。確かに体を休める時間は増えましたが、その分、残業代が減ったのは事実です。生活に響く部分もありますから、正直なところ複雑な気持ちです。
しかし、会社が休憩所を増やしてくれたり、運行計画も無理のないように調整してくれるようになったのはありがたいですね。若いドライバーなんかは、デジタコを使いこなして効率的に走っている奴もいますが、私のような年寄りには、まだちょっと慣れない部分もあります。でも、安全運転には繋がっていると実感していますよ。

**吉田:** 田中さん、長年ハンドルを握ってきた方の言葉には重みがあります。ドライバーの方々の生活と安全、その両立が私たちの使命だと改めて感じます。最後に、荷主企業の視点から、大手食品メーカー株式会社フレッシュフードの佐々木部長にお話を伺います。佐々木部長、荷主として2024年問題にどのように対応されていますか?

**株式会社フレッシュフード 物流戦略部 部長 佐々木 浩二氏(48歳):** 吉田社長、本日はありがとうございます。荷主である私たちも、この問題の当事者だと強く認識しています。既に運賃の値上げ要請は複数件受けており、物流コストは確実に上昇しています。また、これまでと同じリードタイムでの輸送が困難になるケースも出てきており、生産計画や在庫戦略の見直しを迫られています。
当社では、運送会社様とのパートナーシップを強化し、共同輸配送の検討や、可能な範囲でのモーダルシフト(鉄道や船舶への切り替え)を進めています。また、積載率の向上を目指し、製品の梱包方法を見直したり、リードタイムに余裕を持たせた発注を心がけるなど、できることから取り組んでいます。今後は、運送会社様との情報共有をさらに密にし、ITを活用した最適な物流ネットワークの構築にも積極的に関わっていきたいと考えています。物流はサプライチェーン全体の問題ですから、荷主も責任を持って変革に参加していくべきだと考えています。

**吉田:** 佐々木部長、荷主様の視点からのお話は、大変参考になります。サプライチェーン全体での協力なくして、この問題の解決はあり得ませんからね。


今回、社内外の皆様から貴重なお話を伺い、改めて「物流2024年問題」が、いかに多岐にわたる課題を内包し、そして多くの関係者に影響を与えているかを痛感いたしました。

輸送力不足、コスト増加、ドライバーの労働環境改善、そしてDXの推進。これら全てが複雑に絡み合い、一朝一夕に解決できるものではありません。しかし、私はここにこそ、日本の物流が生まれ変わる大きなチャンスがあると考えています。

森取締役が語ってくれたように、デジタコ「YDX-8」やIT点呼システム「SAN点呼」は、運行管理の効率化と安全性の向上に大きく貢献できます。原本部長が指摘してくれた現場の課題に対しては、システムの導入だけでなく、運用サポートや人材育成を通じて、真にドライバーの働きがいを高めるソリューションを提供していく必要があります。そして、久海係長のように、データを活用して現場と管理の橋渡しをする人材が、今後ますます重要になるでしょう。

飯田社長のお話からは、運送会社の経営努力と苦悩、そして先進的なシステムの活用がいかに重要かが伝わってきました。田中さんの言葉には、ベテランドライバーの現実と、働く人々の生活を守るという、私たちの根源的な責任を感じました。そして、佐々木部長が示してくださった荷主側の主体的な取り組みは、まさにサプライチェーン全体での変革の方向性を示唆するものでした。

このままでは日本の物流が立ち行かなくなる。私たちは、この危機感を共有し、具体的な行動を起こし続けなければなりません。中央矢崎サービス株式会社は、単なる製品を提供する企業ではありません。私たちは、安全運行管理ソリューションを通じて、日本の物流を支えるパートナーでありたいと強く願っています。

これからも、私たちは「YDX-8」や「SAN点呼」といった製品のさらなる進化はもちろんのこと、蓄積されたデータを活用した共同輸配送支援、ドライバーの健康管理、そして持続可能な労働環境構築のための新たなソリューション開発に邁進してまいります。

物流の未来は、決して特定の企業や政府だけが描くものではありません。運送会社、荷主、ドライバー、そして私たちのようなソリューション提供企業が、互いに連携し、知恵を出し合い、共に汗をかくことで、初めて明るい未来が拓かれると信じています。

私、吉田幸市は、中央矢崎サービス株式会社の代表取締役社長として、この日本の物流変革の先頭に立ち、皆様と共に未来を切り開く決意をここに表明いたします。皆様の温かいご支援とご協力を、心よりお願い申し上げます。

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