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【第10回】生き残りの分岐点


業界再編・倒産・M&Aの加速する時代に


「あの会社、先月で廃業したらしい」

業界の集まりで、そんな話を聞くことが増えた。コロナ禍を乗り越えたと思ったら、今度はコスト高と人手不足。踏ん張り続けてきた会社が、静かに姿を消している。


「規模の論理」に取り残される恐怖


物流業界では、倒産や休廃業、M&Aによる再編が加速している。

コスト高、人手不足、法令対応負担──。これらが同時に襲いかかり、体力のない会社から脱落していく。

荷主や協力会社からの要求水準は上がる一方だ。「IT化していない会社とは取引しにくい」「データを出せないと困る」。自社で投資・体制強化ができない会社は、取引縮小や価格競争に追い込まれやすい。


3つの声──現場、経営、第三者


業界再編の渦中にいる3人に話を聞いた。

まずは、埼玉県で建材輸送を営むJ運輸の社長、井上さん(仮名・62歳)。

「正直、後継者がいない。息子は『継がない』と言っているし、社員の中にも経営を任せられる人がいない。あと5年は頑張れるけど、その先が見えない」

井上さんは、同業他社からM&Aの打診を受けたことがある。しかし、「自分が築いてきたものを手放すのは……」と決断できずにいる。

次に、同社の運行管理者、西村さん(仮名・48歳)。

「社長がいつまでやるのか、正直わからない。もし会社が売られたら、自分はどうなるのか。そういう不安は、みんな持っていると思います。でも、口には出せない」

西村さんは、業務を回すことに精一杯で、会社の将来について考える余裕がないという。

第三者として、M&Aアドバイザーの金子氏に話を聞いた。

「物流業界のM&Aは増えています。人手不足で事業を継続できない会社を、規模拡大を狙う会社が買収する。しかし、売り手側の準備不足が多い。財務データが整理されていない、業務が属人化している──。これでは、買い手がつきにくい」


私が感じたこと


取材を通じて感じたのは、「変化への準備」の重要性だ。

事業承継にせよ、M&Aにせよ、「いつか」ではなく「今から」準備を始めることが大切だ。急に決めようとしても、整理すべきことが多すぎて間に合わない。

そして、準備の第一歩は「見える化」だ。

自社の収益構造、顧客別の利益率、業務フロー、人員配置──。これらが整理されていれば、選択肢が広がる。逆に、経営者の頭の中にしかない状態では、誰にも引き継げない。


明日からできること、仕組みで変えること


生き残りのためには、「守り」と「攻め」の両方が必要だ。

すぐできる打ち手

  • 自社の財務状況を整理する:売上、利益、キャッシュフローを月次で把握する
  • 顧客別・案件別の収益性を分析する:どの取引が利益を生んでいるかを明確にする
  • 業務の棚卸しをする:誰が、何を、どうやっているかを書き出す

仕組み化の打ち手

  • 運行データを蓄積する:デジタルタコグラフで実績データを残し、経営判断の材料にする
  • 業務マニュアルを整備する:属人化を防ぎ、誰でも業務を引き継げる状態をつくる
  • 外部専門家との関係を築く:税理士、社労士、M&Aアドバイザーなど、相談できる先を持っておく

失敗しやすい落とし穴と回避策

  • 「まだ大丈夫」と先延ばしにする:準備には時間がかかる。早すぎることはない
  • 「売るのは負け」と思い込む:M&Aは、事業を次につなげる選択肢の一つ
  • 社員に何も伝えない:不安が広がり、優秀な人から辞めていく

まとめ


業界再編の波は、止まらない。

その中で生き残るには、自社の強みを明確にし、それを「見える形」にすることが必要だ。データがあれば、交渉ができる。記録があれば、引き継げる。

「うちは大丈夫」と思っている会社ほど、準備ができていないことが多い。今のうちに、一歩を踏み出してほしい。

経営データの整理、運行実績の見える化、業務の標準化など、お困りのことがあれば、中央矢崎サービス㈱にご相談ください。

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